SAlchemiastory’s diary

WoFメンバーメインにした創作小説です^^

Wheel of Fortuneー古代都市と神罰者たちープロローグ

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 【プロローグ】

遥か太古の昔、今から2000年前

この大陸には神々の加護を受けたダーマデウス帝国があった。

歴代の帝王たちは神を崇拝し善政を続け、人々も神々を敬い、神々もまた人々を愛した。

神々の恩恵を受け、帝国は文学、天文学建築学、魔術、医学、錬金術等すべてにおいて高度な文明を作り上げ、その進化はとどまることを知らなかった。

何世代も続いたダーマデウス帝国であったが、邪教徒たちの侵略により混沌の時代を迎えることとなった。教祖イラブは教徒達を率いて帝国を襲い帝王を殺害した。そして自ら帝王に君臨し、権力を駆使して世界の制圧を試みた。反乱する帝国民を処刑し、侵略や戦争を巻き起こし、後に血の暴君と呼ばれるようになった。

さらに神をも凌ぐ存在になるため、黒魔術により自ら魔神へ転生した。空は赤く染まり、大地は荒廃が進み、人々は世界の終焉だと怯えた。

かくして禁忌を犯したイラブは神々の怒りに触れることとなった。女神ミレイユは本来の王位継承者であるアリス王女に、魔神イラブに裁きを下すよう神託を下した。神罰者となったアリスは妖精族、小人族、竜人族と結託し、死闘の末イラブを倒し封印した。

そして、時の預言者は後世にこのような言葉を残した。

「数多の時を経て、封印弱まりて魔神復活する時、アリス王女の末裔現れ、神罰者となるだろう。」

 

 

 

 大抵の人は寝ている間の夢の内容を、起きてからは明確に覚えてないことが多い。しかしそれが悪い夢だった場合には朧げに覚えていることが多くなると言う。自室のベッドで目覚めた彼女は、今見てた悪夢をまぎまぎと思い返していた。

闇の中から迫り来る得体の知れない存在とあたりに立ちこめる死臭と錆びついた血の臭い。逃げたくても足がすくんで逃げることができず、ただそこにあるものと対峙していた。そして何か,を目を凝らして確認しようとしたところで目が覚めた。

 ああ、私はまた悪い夢を見たのかと彼女は、トモチは溜め息をつき、亜麻色の長い髪の毛をかき上げながらゆっくり起き上がる。壁に掲げてある鏡を覗き込むと、普段と変わらない色白の、青い瞳の端正な顔立ちの若い女がそこにいたが、顔色は悪かった。理由はこの不気味な夢を見るのが、最近続いているからだ。

 窓の外を見るとまだ明け方であり、任務の時間まで猶予はあったがとても寝付く気にはならなかった。またあの夢を繰り返すような気がしたからである。

 そしてこの悪夢が、トモチと仲間たちを波乱に満ちた運命へと導く予兆であることを、この時の彼女は知る術もなかった。